大きく4つの研究グループがあります。

デジタルツインは現実空間のあらゆるものをデジタル空間に再現し、リアルタイムシミュレーションによって製品故障の予測や生産管理の最適化を可能とする新たな学術分野です。デジタルツインを実現するためには洗練された様々な要素技術が必要であり、本研究室では3次元の高精度な計測、リアルタイムセンシング、信頼性の高い高忠実度シミュレーション、産業ビッグデータ解析、またそれらを統合するシステムやプラットフォームの研究開発に取り組んでいます。

ものづくりDTのライフサイクル構図
(松尾,藤井,'東京理科大学におけるデジタルツイン人材の育成', 日本機械学会誌, Vol.125, No.1249, 2022)

先端的なシミュレーション手法とスーパーコンピュータ等も利用した大規模流体解析を行っています。産業界における流体力学課題の解決(長期的視点でのプロダクトイノベーション)を目指しています。プラズマアクチュエータとよばれるマイクロ流体デバイスを用いた大規模な流れ制御の研究では,基礎から実用研究まで幅広く貢献しており,企業との共同研究も活発です。

デルタ翼上で生じる渦崩壊パターンの数値シミュレーション結果
数値計算結果にPOD(Proper Orthogonal Decomposition)やDMD(Dynamic Mode Decomposition)などを適用し、渦崩壊パターンの遷移原因を調べています

現実の設計問題で直面する多目的最適化問題を解決する最適化技術、さらにそこから設計に有用な情報を抽出する探査技術(データマイニング)の研究を行っています。ますます短いサイクルでの成果が求められる設計開発において、意思決定者への効率的な設計候補の提示,複数の評価に基づく意思決定を支援する次世代探査技術の開発(長期的視点でのプロセスイノベーション)が目標です。

ロケット射点形状の多目的最適化結果
赤い点が最適解。散布図の左下に行くほど良い解だが、一方を良くすると他方が悪化するトレードオフ関係となっていることがわかります

航空機、列車など安全性と効率性を両立する運行システムを策定するモデルとシミュレーション手法の開発、それを利用して社会の構成要素が互いに影響し合う効果を分析・予測する技術の研究を行っています。計画に基づいて運行(運航)される大規模輸送システムは近年急速に複雑化し、これら社会を支える輸送システムにおける遅延やそれにともなう経済的な損失は近年日常的になっており社会問題となっています。ここでは現在、航空交通システムを主なターゲットにして、スーパーコンピュータも活用しながら急速に複雑化する大量輸送システムの効率化に資することを目指しています。

1日の羽田到着便の到着遅延時間(左:元々の飛行計画、右:遅延が最小となる飛行計画)
飛行計画(フライトプラン)の出発時刻をパラメータとして多目的最適化を実行した結果で、出発時刻を調整するだけで大きな効果があることがわかります